先日のエントリーでもご紹介した、PC用の音源ソフト「初音ミク」。
DTMソフトと呼ばれる、パソコン上で音楽を鳴らすソフトは高価なものからフリーソフトまで多種多様ありますが、このソフトの場合は、人間の声と遜色ない歌声を再現できるのが特徴です。
曲の打ち込みや作曲を自宅で趣味で行っていた人たちにとって、「ボーカル」は難題でした。ボーカルのない曲というのはどうしても一般受けしないですから、DTMは今まで、ごく一部の人たちの趣味にとどまっていました。それが、「ネット」という発表の場とこのボーカルソフトを手に入れることにより、一気に一般に広めることができるチャンスを得たわけです。

このムーブメントに関しては、先日NIKKEI.NETにもこんな記事が出ていました。

テレビ関係者は「初音ミク」を侮ってはいけない NIKKEI IT Plus

 CGM(Consumer Generated Media)というキーワードが一時期もてはやされたが、テレビ局や大方の映像関係者の予想と期待通りに、従来の映像メディアを脅かす存在とは言えないのが現状だ。ところが、CGMは常に着実に進化を続け、テレビ局安泰の理由の一つである「映像制作の敷居の高さ」を揺るがしはじめそうなのである。

はい、ちゃんとテレビ関係者は「侮ってはいけない」と気づいたようです。
で、どのような対応を取ったのかというと…。

TBS「アッコにおまかせ」の初音ミク特集に批判相次ぐ IT media

 TBS系列で10月14日昼に放送された「アッコにおまかせ」で、歌声制作ソフト「初音ミク」を紹介した特集に対し、放送直後からネット上で批判が相次いでいる。結果的に同ソフトが「単なるオタクのおもちゃという扱い」と失望する声や、「ソフト自体とは無関係な『オタク』をおもしろおかしく取り上げるテレビの印象操作にはうんざり」といった声が多い。

どうやら、「女装のコスプレをするような、キモチ悪いオタクだけが使うソフトです」と、視聴者に印象付けてしまうことに決定したようです。
ネットでは「またTBSか!」「とっとと楽天に買収されてシマエ」といった声があふれています(笑)

「テレビの取材」に舞い上がってしまい、まんまとカメラの前でオタクトーク全開でしゃべってしまった彼らも幼いといえば幼いですが、なにぶん取材された彼らは素人です。プロの取材陣にしてみれば、にこやかな営業スマイルとフレンドリーかつ彼らの自尊心をくすぐるトークで、彼らの「いつものノリ」を引き出してしまうことくらい、赤子の手をひねるがごとき簡単だったことでしょう。

そしてこのソフトの発売元、クリプトン・フューチャー・メディア社の公式ブログでは、この件に関して、代表取締役伊藤氏によるコメントが掲載されました。

10月14日のテレビ放映に関しましてご報告とお詫び メディアファージ事業部 ブログ

さて10/14日放送のTBS様「アッコにおまかせ」内のコーナー"教えて!ルーキーワード"にて、「初音ミク」という"言葉"をピックアップいただきましたので、弊社社員が事前に弊社側で用意した原稿を元にコメントさせていただきました。また、mixiコミュニティを運営されているtask様には、局側で出演依頼の上ご協力いただいておりましたので、コミュニティ内における「初音ミク」の拡がりについてのお話しを放送いただけるものと思っておりました。

しかし、フタを空けると、こちら側で伝えたかったコメントの代わりに、取材時に制作サイドに誘導されて発したコメントが使われる始末。また「初音ミク」の本領を発揮する歌声が殆ど紹介されないという、本当に残念な内容。。。

 ?中略?

けれどもその一方で、"良い製品なのだから良く放送されないわけがない"という弊社サイドの驕りもあったと思います。実のところ、ユーザの皆様が「初音ミク」を心底愛し、その可能性に着目されているのと同じくらいに、マスコミの方々も「同じ体験」をされた上で弊社に取材オファーをしているものだと勝手に誤解していました。責められるべきはそれを見抜けなかった弊社の側にあると思います。計らずもマスコミに対する認識の甘さが露呈する形となってしまいました。大変恥ずかしく、番組収録にご協力いただいた皆様、そして「初音ミク」をご愛顧いただいているユーザの皆様には、大変に不快な思いをさせてしまいましたこと、ここに深くお詫び申し上げます。m(_ _)m

何ら非のない、人気の商品を発売したというだけの企業の社長が、取材を受けて放映された内容に関してユーザーに謝罪しなければならない状況って…。
もっともこのエントリー、さっそくコメントで「謝罪文に顔文字入れちゃ駄目でしょう」と突っ込まれているわけですが(苦笑)

ただ、ネットではテレビ局やTBSが叩かれていますが、わたしとしてはこの番組が和田アキ子さんの番組だったことも関係しているのではないかとも思うのですが。この方、以前に素人がテレビカメラの前で歌を歌っただけで、番組関係者に「なんで歌わせるの?!」と何度も文句を言ってたのをいまだに覚えています。
「音声合成ソフト」というのは、何も知らないプロの歌手にとってはさも恐ろしい存在でしょう、かつてのハリウッド俳優がCGに拒絶反応を示したのと同じくらいに。
和田アキ子さんの番組で、初音ミクの歌声を流さなかったのは、リハの段階で和田アキ子さんの機嫌を損ねたので急遽短く、かつひどく貶めた内容に編集し直し、といったことになったのではないかと想像したりしているのですが、さて真相はいかに。


芸能界とテレビ局は、近い関係にありますが決してイコールではありません。
かつてテレビには「芸能レポーター」と呼ばれる人たちが大勢いましたが、芸能人たちが「ネット」という手段を手に入れ、ファンに直接メッセージを送るようになって以降、次第に数を減らしていきました。以前は芸能人が自身のホームページだけで重大発表を行ったりすると、決まって芸能レポーターが「堂々と姿を見せないとは卑怯だ」「ファンに対する姿勢がなってない」などと非難していたのも、今となっては笑い話です。ファンのほうは、「芸能レポーターの前に出てこない=卑怯」などとはこれっぽっちも思わなかったわけですからね。
ホームページと同様、ブログが日本に上陸した際も、報道キャスターなどは否定的なコメントをする人をちらほら見かけましたが、芸能界のほうはアッサリとというか、貪欲にこのムーブメントを取り入れてしまいました。今では若い人を中心に、ブログを書いている芸能人のほうが多いのではないかというくらいの状況ですよね。
結局、新しいものを痛烈に批判する人というのは、自分のネシの種がなくなってしまうのを恐れる人たちです。
マスコミ人が政治家を批判するときの決まり文句「説明責任」もその類ですねえ。

今回の初音ミクに対しては、むしろテレビ局というよりも芸能界のほうがピリピリしているのではないかと思います。
どうかクリプトン・フューチャー・メディア社およびニコ動運営陣におかれましては、JASRACあたりにガツンとやられる前に手を打っていただきたいものです。

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5 Comments

こんばんわ。はじめまして。
といっても掲示板があった頃からずっと読んでいた者です。
初音ミクですが、15000のシンセだとちょっとな……と思ってましたが、今回の報道はちょっと待てよウぉい、な内容なでしたね。


以下、マスコミが作り上げた構図。

漫画=最近は言われなくなったけど、大昔は下衆の読み物とされた。活字離れの原因とも言われていた。一部の漫画は子供に悪影響を与える。

ゲーム=熱中して頭が悪くなる。暴力シーンで子供に悪影響を与える。最近では視聴率が悪いのはゲームが悪いとのことでまた槍玉に挙げられている。

オタク=よく分からないが、なんとなくキモいので晒し。

初音ミクを含むDTMでの音楽製作=よく分からないがとりあえずオタクがやる変な趣味だということ。


まぁ、昔からマスコミはこうした構図というか方程式を作り出すのが大大大大だぁ?い好き♪(萌えキャラ風に)な人たちなので今回の騒動は正直相変わらずだなぁとしか思いません。
しかし音屋としてはこれは悲劇です。
ゲームの音楽作ってる人たちはそれこそDTMでこつこつと、煮え切らない頭を抱えながらグツグツ煮込んで苦しんで作っているのです。
変な先入観植え付けられたら迷惑だYO!
なんだバカやろうッ!(たけしのものまね)
クケーーーーーーッ!(`д´)


ゼハーッ……ゼハーッ……。
世の中のサウンドチームが奇怪な目で見られないことを祈ってますorz

>松野さん

はじめまして、いらっしゃいませ!
ご心配には及ばないと思いますよ? そもそもDTMというものを理解している人は、この番組を観た程度で認識を変えたりしないでしょうし、DTMなんて言葉も聞いたことないョ!という層は、この番組を観ても「キモいオタクが何かやってた」程度の印象しか残らなかったことでしょうし…。

マスコミの面白おかしい放送を鵜呑みにしてしまう程度の人たちにどう思われようと実害ないさ、くらいの気持ちでいるのが精神安定上、良いかと思います、はい。

初音ミクの衣装は、1980年代の音楽シーンを塗り替えたヤマハの名機DX7がテーマです。生楽器のサンプリングによるPCM音源が様々なシーンで使われるようになりはじめたのもそのころです。とりわけ画期的だったのはLinnドラムの登場でした。
Linn Drum LM-1は、世界で初めてPCM音源を使用したドラムマシーンで、それまでのリズムマシーンとは一線を画す、プロのレコーディングで使えるリズムマシーンでした。有名なところではクリスマスの定番、ワムのラストクリスマスのドラムがLM-1です。
当時アメリカのスタジオミュージシャンにとって、このリアルなドラムマシーンの登場は脅威で、録音スタジオでのリン・ドラム使用の中止を求めて訴訟やら署名運動なんてことがあったそうです。いまでは笑い話ですが、当時は人間のドラマーが失業すると本気で恐れられていたのです。
世の中には新しいテクノロジーをおもしろがって利用し、共存しようとする人がいる反面、改革によって自身のアイデンティティーが失われるのではないかと恐れる人々も必ずいます。しかし抵抗感を持つ人がいればいるだけ、そのテクノロジーが画期的でありホンモノだということなのです。

今、現役の歌手やプロダクションにとって初音ミクがけしからん存在であって、有名TV局が「初音叩き」をするのもおそらく同じ流れなのでしょう。つまり、それは初音ミクがホンモノである証拠です。どのプロダクションにも属さない、どの放送局でもかからないバーチャルアイドルの歌が、ネットで何百万回も視聴され、ヒットしているということは、従来の音楽業界の慣習や利権を根底から覆す現象なのです。つまり、後世振り替えれば2007年のいまがまさに時代の転回点、ブレークスルーのまっただ中なのです。

うれしいにつけ悲しいにつけ、歌を唄いたくなるという人間自身の性質が変わらない限り、人間の歌い手がいなくなることは絶対ありません。でも 80年代以降、普通のポップスの伴奏パートの多くがすぐに「打ち込み」に入れ替わったことを考えると、バックコーラスは機械の声で行うのが普通という時代はそう遠くありません。そういえばミクの妹の「リン」という名前はもしかして・・・。
初音ミクがDX7ならば鏡音リンはLinnのドラムかと妄想が止まりません。

>TiidaP

いらっしゃいませ。
…コピペのようですけど。

と っ と と 楽 天 に 回 収 さ れ ろ
ク ソ T B S が w w

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