古いものを大切にする、という割には世界でも稀にみるほど使い捨て文化が発達し、リサイクルも遅々として進まないこの日本。
創業何百年といった老舗企業が多数あるにも関わらず、トヨタなどごく一部のメーカー以外は、海外市場どころか国内でさえブランドとして通用するかどうかも怪しい。
元来の寄らば大樹志向に加え、好景気を体感した経験のない今の学生世代が、この採用氷河期といわれる時代に安定志向に走るのは当然の成り行きです、ええ。学生だけが悪いわけではありません。

第1回「採用できない合同説明会?合同説明会の落とし穴?」 NIKKEI.NET

従業員規模別の求人倍率を見てみると1000人未満の企業では2008年3月卒で4.22倍もの数字になります。これは4人の学生に内定を出しても、1人採用できるかどうかという数字です。この現状は採用に大企業ほどの力を注ぐことができない中小企業にとって、企業を存続させていく上での死活問題であるといえます。

今から10年ほど前までは、逆に「就職氷河期」といわれ、就職先の見つからない学生が大勢出ました。彼らが現在でもいわゆる「ワーキングプア」となって、第二次ベビーブーム世代と言う人数が多い世代が結婚出産適齢期であったにもかかわらず出生数がサッパリ伸びない原因となっていることは想像に難くありません。
政治家や役人は絶対に認めようとしませんけどね。

「就職できないなら、自分たちで会社を作ればいいのに」。
他国の人であれば、きっとこう思うのでしょう。貧しい発展途上国ならいざしらず、いちおう不況は脱したはずの先進国日本で、きちんと高等教育を受けた若い人たちが「就職先がない」と嘆いているのはさぞ不思議な光景でしょう。

これを、日本の事情を知らない人に説明するとしたら、まず日本の学校教育が実社会に全く即していないという点から話さないといけませんね。とにかく職業訓練と無縁なんですよね、日本の学校は。だから、一度も就職せずに起業をするというのは、学生時代からそのつもりで自主的に経験を積んだ人でないと難しい。結果として、就職できなかった人が後からビジネスで成功するというのは日本では恐ろしくハードルが高い。
それから語学力のなさ。日本の学校では、英会話能力のない英語教師が生徒に英語を教えているのですから、無理からぬことです。語学力がないから、「国内に仕事がないなら海外に行こう」という人も少ない。

そして、なぜこれらの問題が置き去りになっているかといえば、まあ要するに、解決しないほうが得策だからなのでしょう。景気は波ですから、好景気になればあっという間に現在のような人材難に陥ります。優秀な若者が勝手に起業して儲けたり、海外に出ていかれたりなんかした日には、既存の大企業としては大いに困るわけで。大学中退してベンチャーを起こして有名になったホリエモンみたいなのは、どんな小さな不正もことさら大きく報道して「ベンチャーで成功なんてするわけがない。成功してるやつはどうせ裏で違法行為を働いてる」というイメージを国民に植えつけなくてはなりません。
同時期に同じように帳簿誤魔化して経営責任が追求されてた企業は他にもあるのに、大企業であるそちらはゴメンナサイ会見が中継された程度ですからね。


と、いうわけで、就活を控えた日本の学生の皆さん。新卒採用は非常に大事です。どうか全力で頑張ってください。
まだ就活は先だという学生さんは、景気動向という運100%の要素にも打ち勝って大企業の内定を勝ち取る実力をつけるか、もしくは海外で仕事に就けるように語学力を身につけるか、どちらかです。頑張ってくださいね。


そして人材難に悩んでいる中小企業経営者の皆さん。えーと、普通に第二新卒とか狙えばいいと思うんですけどね。というか、中小企業でそんなに新卒志向の強い企業って、どんなとこなのでしょう?
おそらく、新人教育が効率的に行えるってメリットが大きいのでしょうけど。
ゲーム業界では中小といえば「経験者求む!」だし、むしろ大企業でも開発は通年採用の中途メインって感じのところもあるくらいで。新卒重視の中小企業って、ピンとこないなあ…。

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5 Comments

紫月さん、はじめまして。

第二新卒者の自分からの私見ですが、中小企業で新卒志向が強いのは紫月さんがおっしゃてるように新人教育が効率的に行えるというのもありますが、本当の思惑は新卒者というまだどこにも染まっていないカラーを自分たちの思惑通りに洗脳(あえて教育という言葉を使わない)でき、企業側の理想通りの「オレ色カラー」に染めることが出来るからだと思います。

中小企業はエリートも本当は欲しいでしょうけど、エリートはそれなりに野望を持ってる方が多いでしょうから、エリートではない一般新卒を叩き上げで会社の後継人まで育てる気なのでは?

自分のような第二新卒を積極的に取らないのは、最終学歴と正社員就職の間にアルバイト生活などのバウンドがある人は企業に対する耐性(労働交渉能力とか仕事をする上での世渡り能力)が秀でてることがマイナスになり、企業に従属的でないことがネックになってると思います。(企業はイエスマンしか取りませんから・・)

紫月さん、

>優秀な人材が集まらないからベンチャーが育たないのか、ベンチャーが成功しないから優秀な人材が集まらないのか

まず、「優秀」の定義。

同じ能力であってとしても、個人主義的訓練の身に付いた「優秀」さと、集団主義的な組織の中での「優秀」さでは違いますよね?

江戸250年の歴史で、士農工商が染みついてしまって、マーチャンタイジングは、最低の職能です。武士の潔さが褒め称えられ、利ざやを稼ぐ商法は汚い商売と言われます。

しかし、松下やソニー創業の頃、創業者が何をやっていたかというと、最先端技術など最初はやっていなかった。利ざや商売でした。二股電球ソケットを作って売っていたわけですから。ソニーだって、めざとくトランジスタを発見(使われない特許を見つけた!)するまでは、町工場です。

泥臭いものなんです。アップルだってガレージセールだし、MSだってIBMの下請けだし、泥臭い。アメリカンドリームもジャパニーズドリームも泥臭い。それで、徐々に技術の蓄積があって、めざとく新技術を発見して、ビックになったということ。最初は丁稚奉公の泥臭さがないと、商売などわからない。

「優秀」というのは、ファイナンス分野での錬金術を発見して、泥臭い期間を出来るだけ短くして、大きくなる、というホリエモン的商売もあるんでしょうが、技術の蓄積はやはり地道で、全然華やかではありません。泥臭い部分でも「優秀」であることが必要なんでしょう。

それから、「優秀」さとは、泥臭い期間も我慢して、華やかになる段階でも成金的にならない、そういうスマートさが要素にあると思いますよ。

>古いものを大切にする、という割には世界でも稀にみるほど使い捨て文化が発達し、リサイクルも遅々として進まないこの日本。

日本は、世界第2位の資源国となりました。

ウソ!ではありません。電子工業品をこれだけ短期間にこれだけ狭い地域に集めた国家はいません。そのゴミの山たるや相当なもの。それが、いまや、資源となっています。使い捨て、というのではなく、短期間に繰り返されるモデルチェンジで捨てられた車輌、家電が、いまや、世界第2位の資源保有国となったわけです。

鉱石を掘り出す必要もない。精錬する必要もない。ただ選別して、分解、溶融すれば、それが金銀宝石の山となります。つかり、世界にまれに見る使い捨て文化が、資源蓄積の役割を果たし、それが公害問題を乗り越えて、目前にあるということ。

発想の転換ですよ。

>創業何百年といった老舗企業が多数あるにも関わらず、トヨタなどごく一部のメーカー以外は、海外市場どころか国内でさえブランドとして通用するかどうかも怪しい。

「創業何百年といった老舗企業」の数、日本は世界有数です。

なぜなら、倒産を恐れる国、信用失墜を恐れる国、一事が万事、いったん失敗、廃業したら、もう、2度はない、再チャレンジがない商習慣。それが、「創業何百年といった老舗企業」という老舗企業を産みました。

これはね、「創業何百年といった老舗企業」というブランドを生かさない日本の商習慣が悪いだけであって、それを生かすマネージメントさえあれば、世界に幾ら出しても通用するブランドたり得るわけです。

芸者さんの使う「紅花」取引300年、なんてブランドを、紅花取引にしか使わない、グローバル化したブランドとしない意識の問題です。

話がそれました。

>「就職できないなら、自分たちで会社を作ればいいのに」他国の人であれば、きっとこう思うのでしょう。貧しい発展途上国ならいざしらず、いちおう不況は脱したはずの先進国日本で、きちんと高等教育を受けた若い人たちが「就職先がない」と嘆いているのはさぞ不思議な光景でしょう。

30年近く前、ピザ屋をでっち上げて、有限会社化した私から見と、笑止千万なことです。

>これを、日本の事情を知らない人に説明するとしたら、まず日本の学校教育が実社会に全く即していないという点から話さないといけませんね。

ガッコにすべて頼りすぎ、冒険無し、これが問題ですよ、紫月さん。

>とにかく職業訓練と無縁なんですよね、日本の学校は。

いやいや、中高で職業訓練したら、それはドイツ的になります。教育はアカデミックなほど、役に立たない衒学的なほどがいい。

ところが、日本は中途半端なんですよ。中途半端に実際的、中途半端にアカデミック。なぜなら、ドイツの職業訓練校のように徹底的に実際的、或いは、米英のように徹底的にアカデミックでは、同じ世代で、カーストが産まれてしまいます。だから、マズイということになります。で、中途半端。

>だから、一度も就職せずに起業をするというのは、学生時代からそのつもりで自主的に経験を積んだ人でないと難しい。

ネットのない時代で、有限会社をでっち上げられるんですから、ネットのある現代、何が難しいのか?私には理解出来ませんよ。

>結果として、就職できなかった人が後からビジネスで成功するというのは日本では恐ろしくハードルが高い。

そうでしょうか?

>それから語学力のなさ。日本の学校では、英会話能力のない英語教師が生徒に英語を教えているのですから、無理からぬことです。語学力がないから、「国内に仕事がないなら海外に行こう」という人も少ない。

語学力がなくても、世界に出て行けばいいだけのこと。簡単ですよ。語学力は後から身に付きます。どうしようもなくて、身につけないと仕事にならない、という情況にあれば、無理でも何でも身に付く。中学高校大学と英語赤点の私が言うのだから、間違い有りません。

ガッコで習う、なんて言語に必要ない。トイック、トイフル、満点に近い数字を取る人間が契約書の一つも書けず、プレゼンの一つも出来ません。

>まだ就活は先だという学生さんは、景気動向という運100%の要素にも打ち勝って大企業の内定を勝ち取る実力をつけるか、もしくは海外で仕事に就けるように語学力を身につけるか、どちらかです。頑張ってくださいね。

泥臭い仕事から、地道にやる根性(古い?!)が必要。語学力、必要なし。冒険心があれば何でも出来ます。

>むしろ大企業でも開発は通年採用の中途メインって感じのところもあるくらいで。新卒重視の中小企業って、ピンとこないなあ…。

って、そこまで育てた企業が、中途採用者の前歴にあった、ということで、それがなければ、実力のある中途採用者などいないとおもうけどなあ。。。

>XEER さん

はじめまして。

>本当の思惑は新卒者というまだどこにも染まっていないカラーを自分たちの思惑通りに洗脳(あえて教育という言葉を使わない)でき、企業側の理想通りの「オレ色カラー」に染めることが出来るからだと思います。

それについてはリンク先の日経の記事に書いてある通りで、事実でしょう。

>自分のような第二新卒を積極的に取らないのは、最終学歴と正社員就職の間にアルバイト生活などのバウンドがある人は企業に対する耐性(労働交渉能力とか仕事をする上での世渡り能力)が秀でてることがマイナスになり、企業に従属的でないことがネックになってると思います。(企業はイエスマンしか取りませんから・・)

「バウンドがある人は労働交渉力に優れている」というのが事実なら、その「バウンドがある人たち」は、この人材難の世の中で引く手あまたになることでしょう。どこの企業のサラリーマンにも重視される能力ですからね。
ただ、「従属的でない」というのが、ニュートラルを通り越して「反抗的」というところまでいくのであれば、それは大いに不採用になる原因でしょう。実務経験のない新人なのに謙虚に学ぶ気持ちさえ無いのでは、その人は永遠に成長しないわけですからね。


>FRANKさん

タイトルの疑問に関しては、このエントリー読み返してみたら結局わたしの回答を出していないので、また今度別の記事書きますね。

日本の「資源」については以前にNHKで特集していましたが、中国の業者がドンドン買い取ってタンカーで中国に運んでいるそうです。最新技術を駆使した工場を持つ日本のリサイクル業者は、低賃金の出稼ぎ労働者による手作業で分別を行う中国の業者との価格競争に勝てずに苦戦しているのだとか…。

>ネットのない時代で、有限会社をでっち上げられるんですから、ネットのある現代、何が難しいのか?私には理解出来ませんよ。

つまりは「そうだ、自分たちで会社を立ち上げればいいんだ」という発想自体が出てこないのですよ…。

>って、そこまで育てた企業が、中途採用者の前歴にあった、ということで、それがなければ、実力のある中途採用者などいないとおもうけどなあ。。。

これはゲーム業界のような歴史の浅い業界特有なのだと思いますが、「他業界のいいところを取り入れたいので、他業界からの転職者歓迎」といった需要があるんです。

>紫月さん

このトピックに関係する議論が今日の朝生で語られてましたね。(いつもよりまともな討論してるので面白かった)コメントありがとうございます。改めて自分のコメントを読んで言葉不足だと気づきました。

仕事に従属的でないとみなされるのは業務に就いてからの状況ではなく、会社の採用面接に行ったときの状況ですね。これはゲーム業界の話ではないですが、具体的な話をさせてもらうと某派遣業の説明会に行った時の実話ですが、日給、月給問わず土日を挟んだ場合、週終わりに給料を振り込んでくれるのか、週初めに給料を振り込んでくれるのかでその会社の人材についての考え方が「モノ」なのか「人間」なのかなどの側面を見ることができる。(別に派遣業に係わらない)

こういうカウンター的な質問をしてくる方は企業も良い顔をしないはず。しかし、労働者にとっては生活が掛かっている訳だからこういう質問が出来る能力は付けておいて損はない。(自分が火傷しない為にも)

これは例外的な事象と言われるかもしれませんが、アルバイト経験が長い方などは思い当たる節があると思います。

>XEER さん

おお、朝生で労働問題か何かやってたのですか。ちょっと観たかったです、残念。

>これはゲーム業界の話ではないですが、具体的な話をさせてもらうと某派遣業の説明会に行った時の実話ですが、

「派遣業の説明会」というのはもしかして、「派遣会社の正社員」ではなくて派遣社員の説明会なのでしょうか?
それで質問して嫌な顔をされるような会社は、昨今の派遣会社の相次ぐ摘発を見ると、とても信用できませんよね。あくまで「いい仕事を見つけるまでのツナギ」として考えて、頑張ってスキルアップしていい仕事を探すべきでしょう。

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